尿路結石

•昔から男を悩ませてきた痛み

明け方に突然来るものすごい痛み。まさに七転八倒する痛みが特徴的なのは、尿路結石で す。尿路結石はこれまでは若い男性とおばあさんの病気でした。これは「女性ホルモン」と 呼ばれるエストロゲンが結石を作りにくくする一方で、「男性ホルモン」と呼ばれるテストス テロンは尿中のクエン酸というヵルシウムと結合する物質を減らし、結石をできやすくする ためです。ですので、若い男性と、閉経後の女性に多かったのですが、この二十年で患者は 三倍近くに増え、若い女性や高齢男性でも珍しくありません。

尿路結石は、国民の一割は生涯に一回は経験するという意味で、まさに国民病といってよ いでしよう。骨が弱くなる骨粗しよう症でも、尿中のヵルシウムが増えて結石を作ったり、 痛風や糖尿病でも結石はできやすくなったりするので要注意です。

また最近の研究から、ご飯を急いでかきこんだり、大食いだったりすると、結石ができや すいことがわかっています。大量の炭水化物を摂ると血液中の糖分、血糖値が上がり、代謝するィンスリンというホルモンが増えます。このィンスリンが増えると尿中にやはりカルシ ゥムが増えるのです。ですから結石の経験者やご家族に結石になった方がおられる方は、ご 飯はゆつくり、また肉類だけでなく、果物も十分摂つてください、ということになります。

またもちろん、日頃から水分を多めに摂ることも結石の予防には欠かせません。なかには 結石ができやすい体質の人もいます。尿が酸性に傾いていたり、副甲状腺に腫瘍がある場合 です。一度結石ができた方の五割は再発しますので、医師は、どこに原因があるか詳しく調 ベます。

さて、結石の痛みはほとんどが明け方です。これはなぜでしょうか?

おそらく夜中に尿が濃くなることと関係があるといわれています。通常、夜中には尿が濃 くなり、尿の出る量も少なくなります。朝一番の尿は色も濃いのが普通です。おせんべいを 食べたときに醤油で口の中が荒れるのと同じで、濃い尿は尿管や膀胱にとっても刺激が強く 粘膜がむくみやすくなります。その尿管に、どんぶらこ、どんぶらこと結石が流れてきて、 ふと途中でつつかかつたとしましょう。尿が薄いうちは結石の周りを流れていきますが、尿 が濃くなると尿管の粘膜がむくみ、石とのあいだに隙間がなくなります。そうすると、腎臓

尿を作り続けていますので、ダムのように尿が堰きとめられ、腎臓に圧力がかかります。 これが激烈な痛みを起こすのです。ですから、尿が濃くならなければ、結石も尿管をうまく 滑り落ちることも可能といえます。

さて、この尿管結石は記録に残っている人類最古の病気といってもよく、ヒポクラテスも、 腎臓に砂がたまり結石となることに、気づいていました。面白いのは紀元前五世紀の『ヒポ クラテスの誓い』という書物に、「尿路結石を取り出す手術は極めて危険ゆえ、専門医以外は 決して行わないこと」と記されていることです。おそらく結石の痛みに転げまわる人を放っ ておけず無謀な手術を行った医師が後を絶たなかったのでしよ、っ。

こうしてみると泌尿器科医は世界最古の専門医ともいえるかもしれません。実際、紀元三 世紀頃には、当時の世界の文化の中心のひとつ、アレキサンドリアにアモリゥスという結石 治療の名人がいて、まさに門前市をなす状態であったことが知られています。

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